[月間美術]
特集●凄腕写実の最新世代−彼らは何を見つめているのか

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             かなた 100号P [大判画像]
            2000年 白日会展 

記事の抜粋
昨年の白日会展出品作。97年には日展に初出品して初入選。昨年の日展出品作は特選を受賞した。美人画の画家として括ることもできるが、装飾的なそれでなく、カジュアルな美人画。「自然であって、少しの緊張感と語りかける力」を感じさせる「かたち」を追求。対象の何気ない仕草さや表情をとらえて、空間にひそむ気配を描き出す。
ショートインタビュー 私にとって写実画とは
生身の人間が描いた
温かみを大切に
 絵画の原点=立体的で、形や色などをもつものを平面上に写し取り、観る人に伝える、わかってもらうということ。このシンプルな在り方に最も近い、自然な表現方法が写実だと思います。
 実のところ私自身、具体的に形のある物を通じてしか発想が浮かばないところもあり、それで写実画をやっているのかも知れません。とりあえずモデルさんを通して、自然でありながら、少しの緊張感と語りかける力を感じさせる「かたち」を探すことから始めます。
製作しながら対象の存在そのものを追及する面白さにふと気付いたとき、描き続けることでしか見えてこない領域を垣間見たとき。そういうときにシンプルながら非常に奥が深く、つきない魅力をもつジャンルだということを強く感じます。
 ただ、あまり対象に厳しく迫ろうという意識が強くなり、そのことにこだわりすぎると、ある種の冷たさや硬さを与えてしまいます。最近、対象を「モノ」そのものとして描くという写実の在り方もよく論じられます。確かに、そういう中から生まれる凄味も必要だとは思いますが、自分の場合はあくまでも生身の人間が描いた絵として、必然的に内側からにじみ出てくる温かみを大切にしたいと思っています。