[美術の窓]
■第82回白日会展(3月26日〜4月4日)
美術の窓 2006年6月号
 想 P100
 [大判画像]
  2006年 第82回白日会展 1室

記事の抜粋
「想」。木原が描く女性像の魅力は、花に喩えるならば、華麗でゴージャスな花ではなく、野の花のような可憐さと清楚さがある。だから鑑賞者は、リラックスした心の状態で、すーっとこの女性を眺めることが出来る。いかにも日本の女性らしい、奥ゆかしさと慎ましさが感じられ、親密な感情が湧く。だからこれまで拝見してきた女性像のなかでは、今回はポーズに少し「スキ」があって、ほんのりと色香が漂っているところが興味深い。椅子の背に頭を乗せて、斜め横に腰掛けたポーズが少しメランコリックで、女性の内面が垣間見えるようだ。みず色の地に可憐な花柄模様の織り込まれたワンピースの表現などは、木原特有の温もりを含むような丹念な描写がされ、独特の手触り感がある。ワンピースの花柄も単なる模様ではなく、女性の清楚さ、可憐さ、繊細さを象徴するように表れている。床と壁が、ロマンティックな雰囲気のグレーによってしぜんと溶け合っている。女性の肌、衣装、背景がしっくりと調和している。そして不思議な安息をもたらしている。(功刀知子)