HIROSHIMAけんみん文化(2000冬季号)

<作者のことば>

テキスト ボックス: よく「なぜ女性を描くのですか」と聞かれます。返答に
窮しながらも、二十年以上前、最初に絵をご指導いただいた先生の言葉を思い出します。「人物さえ描ければどんなモチーフでも大丈夫」。
 負けず嫌いの私は人物画に固執し続けてきました。 今、先生にお尋ねすると、「どんな物でもそれぞれ奥深いし難しさがある・・・」とおっしゃっています。本当に、すんなり描ける物など何一つありません。
 一枚の絵を何ヶ月も手元において、ああでもない、こうでもない、と迷いながら少しずつ進めていく。納得出来ないにしても、こだわることでしか未知の領域を垣間見ることが出来ないと思うのです。
 描くということは、日々のさまざまな「思い」を受け止めてくれます。私を含めて、その時々の見る人の気持ちと画面とが共感し合えたら、と願っています。(木原和敏)