[美術の窓]
■第76回白日会展(3月26日〜4月4日)

 かなた  [大判画像]
  2000年 第76回白日会展 1室

記事の抜粋
「かなた」。 木原のモデルは、このところいつも一定なので、またこの女性と巡り合ったといった印象をもつ。画家とモデルの関係も不思議なもので、こういったリアルな肖像ふうな画家の場合に、同一の人物が出てくると、知らない女性ではあるが、親しみを持つのも面白いことである。横座りに座っている若い女性。チャイナふうのドレスを着ている。背後は茶がかった灰白色で統一されている。もちろんそのなかに床の平面と背後の壁を思わせるような調子を連結しながら、ある手触りのある空間をつくりだしている。だんだんと対象に食い込んでいく画家の視力というか、造形性が強くなってきているように思われる。自然なポーズであるが、ときめきのようなものがあって、それが生き生きと鑑賞者ほうに伝わってくる。首をすこし右に曲げた顔と、胸から下、あるいは腰から、投げ出している右足首までのフォルムの推移を見ていると、実に詳細に対象を理解し、つくっている。一種具象彫刻のディテールを追う追い方と共通のような造形性を今回感じた。