[美術の窓]
■第77回白日会展(3月26日〜4月4日)

 
惟る  [大判画像]
  2001年 第77回白日会展 1室

記事の抜粋
「惟る」木原の作品は白日会や日展で毎年観て同じモデルなので、何か懐かしい気になってくるから不思議である。椅子に座った若い女性の全身像である。画面全体の長辺の六割ぐらいの大きさにこの全身像が入れられている。したがって背後が重要である。背後は、壁とか床とかを特定せずに暗示させながら、むしろ空気感というか、この女性を包み込むようなある雰囲気でもって表現している。それが甘くなる一歩手前で止まっているところが面白い。
 バックのこういった雰囲気で止めるところは実際にはなかなか難しいと思われるが、それに成功しているのではないだろうか。それによって、膝の上に両手を置く楚々とした若い女性の花柄の衣装や肌の色も、背景と響き合いながら、より美しく感じさせる。少し見下ろす角度この女性を描いていて、女性の持つ全体の量感というものもくっきりと捉え、前述した背景と響き合いながら、ロマンチックで、芳香が漂ってくるように感じさせるところが進境である。