[美術の窓]
第33回日展(11月2日〜11月24日)

 
静謐 P100 [大判画像] 
<洋画> 2室
2001年 第33回日展

記事の抜粋 
「静謐」。顔を斜め横に向けて、地べたにしゃがんだ女性をリアルに描いている。全体に暖色系の優しい色彩が施され、女性のふっくらとした柔らかなポーズや身体つきとしっくり馴染んでいる。やや下方に向けられた視線、右の大腿部の上で重ねられた両の手、ワンピースの裾からのぞく裸足などが、しなやかで繊細な表情で描写されている。血色の良い若い女性の肌には、真珠のイヤリングとネックレス、そして指輪があしらわれ、灰白色の光沢が静謐な画面の中でアクセントとなって響いている。ツーピースには花柄が施されるが、ここで使われるピンク、青紫、緑、灰白色は背景にも使われている。女性は写実的なフォルムでリアルに描かれるのに対し、背景は灰白色をベースに微妙な色の調子で作られている。柔らかなトーンが女性のフォルムを優しく、しっくりと包み込んでいる。女性のしとやかなエレガンスが背景としっとりと馴染み、清楚な雰囲気を作っている。