[美術の窓]
■第38回日展(11月2日〜11月24日)
たたずむ P100 [大判画像]
<洋画> 1室
2006年 第38回 日展 特選
記事の抜粋 |
「たたずむ」。特選。若い女性が両手を優しく組んで、さりげない眼差しをこちらに送っている。なんとも清楚な佇まいである。いつもは心象的なトーンの中に女性を描いている木原だが、今回は実際の風景を描いていて新鮮な印象をうける。興味深いのは、木原のリアリズムが、細部まで描きこんでいくうちに、現実を突き抜けて夢のなかに入っていくようなロマンティックな雰囲気さえ表している点だ。今回は背後にジャスミンの葉っぱが繁り、太陽の光を透かして明るい緑色に輝いている。まるで女性を荘厳する光背のようだ。長い時間の堆積を表徴するように、その後ろには煉瓦を積んだ壁が描かれて、女性の初々しさと面白く対照されている。 |