筆について 〜熊野筆のインタビューに答えて(記事を抜粋)〜 |
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油彩画について |
油彩画は絵の具を溶く油の種類によって様々に表情を変えます。主に豚毛のような弾力性がある筆が使われますが、工程や油の種類、作風などによって変わります。 |
油彩画の筆 |
「一言で言うと、粘ついた油を使うので、それに対抗できるコシというか、それをもっていないとなかなか思うように描けません。大小大きさの関もありますけども、コシがあるかないか、どの程度のコシをどの段階で使っていくかということだと思います」 |
下描き |
「私の場合、白い地塗りというか、アクリル系で地塗りして、その上に鉛筆で下書きをして、それから筆を使うという行為に入ります。その時は、すごく油の粘性を抑えて、さらさら状態といいますか、そこで描くのでデザインとか日本画に使うような平筆を使って、全体に温かみを与えるような色を輪郭線を気にせず、とにかく塗るということから始めます」 |
色を塗る・形を創る |
「基本的には豚毛とか狸、あと最近マングースの筆も出ていますが、そういったものを使いますね。というのは、コシの問題なので、豚毛は結構コシが強い。マングース、狸は少し弱くなっていますが、その絵の具の乾き具合とかに応じて使い分けながら、例えば人物を描くのでしたら、その塊としての表現。特に重さを感じさせたり、同時に質感を持たせたりという、色々なことを考えながら、筆を使っています」 |
仕上げ |
「今から仕上げてやろうという時は、細い線が引けたりデリケートな面を調整したりするのに、柔らかかったり、尖がったりする筆、面相筆とかを使います。しかし仕上げだと思ってやってると、実は全然できてなかったという事がしょっちゅうあるんですよ。そういった時は、また半分やけくそになったりしながら豚毛の筆で描き直したり、行ったり来たりしながらというのが実情です」 |