[特集] 写実画 MODERATO 暖かなまなざし、穏やかな時

                                           

私の絵画、私の現在(いま)
−紹介作家のことば
レンブラントの「ユダヤの花嫁」
       木原和敏 
 20年近く前にレンブラントの「ユダヤの花嫁」という絵に出会いました。そのときの印象は今もはっきりと覚えています。まるで描かれている男女がそこに存在しているかのような気配があり、内側から光を放っているのです。背中がゾクッとして絵の前から何時間も立ち去ることが出来ませんでした。
 絵描きとして10年近く経っていましたが、やっと自分がどんな絵を描きたいのか気が付きました。以来、制作を続けていますが、あちらこちらにぶれながら迷ったり行き詰まってばかりです。そんな時でもあの絵を見た瞬間の感動を思い出し、迷いが吹っ切れた事は何回もあります。今はあの作品が私が「戻るべきところ」という気がしています。これからも、私自身が夢中になる絵を描きたいと思っています。
※レンブラント「ユダヤの花嫁」